渋谷・コクーン歌舞伎「東海道四谷怪談」南番@シアターコクーン

本日2本立て。先に観劇の予定が入っていたけど、間に合うだろうってライブを入れてしまった。今回はコクーン歌舞伎。PARCO歌舞伎にネオかぶきにコクーン歌舞伎。どれもちょいと毛並みの変わったものばかりが続く。まあ歌舞伎座ばかりが歌舞伎じゃないしねぇ。
よくよく考えてみれば、勘三郎さんの芝居をナマで見るのって始めてかも。テレビじゃ何度か見てるんだけどね。コクーンは1階は席を取っ払って平場席。升席みたいな感じで、いつものコクーンとは別世界。天井から大きな提灯が下がってたりして、芝居小屋って雰囲気が味わえる。
客席の通路を花道にして、役者が次から次へとバタバタバタバタ。時には「そこ通路じゃねーだろ」って所を無理矢理通って、観客と触れ合うというサービス(?)もあり。それだけじゃなくて、全体を通して演出がとにかく派手。コレが噂のコクーン歌舞伎かと、鼻息荒らし。
勿論演出だけでなく、個々の役者さん達の芸も素晴らしい。早替えによって役を次々と変える勘三郎丈は正に「化ける」。女形ではお岩の心情がもう痛い痛い。それゆえに立役の小平や与茂七で「陽」の部分が際立つ。橋之助さんの伊右衛門は正に悪の華、憎らしいがカッコいい、ゾクゾクするね。ただこの人元々ノーブルな気質を感じるから、ワルよりも色男度の方が勝っている感じ?扇雀さんのお袖も美しいし、弥十郎さんは長身を活かして直助の荒々しさとか悪っぷりが全身から出まくり。
興奮の極みはラスト30分位。興奮して思わず涙出てくる。「髪梳き」は舞台に釘付け、マジでゾクゾク。これらの脚本と演出がもう昔から受け継がれているものだってのが、素晴らしい。今見ても新鮮だもの。南北って人は一体今で言うとどんな人だったんだろうね、個人的には変人ってイメージあるけど。
歌舞伎の転換ってさ、幕を下ろした状態で結構派手にかましてくれちゃうよね。幕の向こうからドッタンバッタンガンガンゴンゴン作業の音が容赦なく聞こえてくる。その間にいかに空気を壊さないように次へ持っていくかって、実は結構大変なことではないかと思う。時間的な問題もあるし、ドカドカうるさい音で雰囲気が壊されるってことで、集中力が途切れてしまうことがあるんじゃないかと。今回はそんな幕間に、「鶴の千年・亀の万年」というお笑い芸人まがいのつなぎあり。この後の水場の注意なども含めて、実に楽しい幕間を展開していた。(水よけシートを引き上げるタイミングの練習までさせた)
そんな練習の甲斐があってか、前方の客は一生懸命水を避けてたようである。が、そんあん努力も虚しく、役者は必要以上に水をぶっ掛ける。いいぞー!やれやれ!(所詮他人事)演舞場では、ジャニーズ君が最年少座長公演をおったてて話題になったかと思ったら、演出で使った火で火事というかなり深刻な事故が起きてしまった。ので、こっちも演出に火が出る度「気をつけてね」という余計なお節介かもしれない心配をしてしまった。これは自分の身がかわいいからではなく、事故によって興業の継続が危ぶまれることへの心配。
いつもはすごいもん見るとため息が出るが、今回は何故か興奮してしまった。そして平場席ちうことで、ちょっと足が疲れました。