「ダブリンの鐘つきカビ人間」@ル テアトル銀座

舞台をほとんど観たことないけど何かオススメあったら教えて、と知人達から言われ続けていたが、なかなか「これは絶対オススメ!」と万人に対して自信を持って言えるものがなくて保留になっていた。しかしやっとチャンスは来た。これは間違いない作品。ホンも演出も役者もいい。そして自分も勿論観たい。そんなわけで観劇ツアーを組んではるばる銀座へ。それにしてもいつも1人か2人でしか観劇しないのに、4人って始めてだ〜。っていうか、4人で出かけるってことだけで既に珍しい。引率はちょっと面倒だし相変わらず体調は宜しくないが、誘った以上ちゃんとホストをする覚悟で出かける。
開演前に一緒に昼飯を食べてもよかったんだが、休みが1日だけなのでお互い朝はゆっくり起きたいとか午前中に家のことをやってしまいたいということで、待ち合わせは13時。ゆとりがあるはずだったが、さすがに4人となると集合するだけでも時間がかかり、集まっても歩き出すとこれまたいつもより時間がかかる。結局劇場についたらギリギリでやんの。ホントはもっとゆっくりしたかったが、まあこんなもんか。
席は真ん中の真ん中辺りで舞台全体を見るには非常によい席だが、如何せんテアトル銀座、ちょっと広めの劇場なので役者のお顔までははっきりと見えない。まいっか。舞台用のメイクなんて、あんまり間近で見るもんではないし。オープニングには土屋アンナ嬢の歌。先日江ノ島のライブでも聞いたがやっぱり歌うまい。成志さんや山内僧正・後藤大王は相変わらず胡散臭さぷんぷんだし、さとしさんややそちんや中山さんは上手いけど爆笑モンだし、及川さんや姜さんは可愛くてカッコよくて見応えありだし、役者だけでももうお腹いっぱい。
改めて見ると主役2人の出って実はあんまりないのかも。街の人たちや物語に入り込んでしまった旅人たちがお話を進めてくれるからなぁ。でも主役2人が一番お芝居大変なんだろうな。カビ人間の心のキレイさは、現代の薄汚れた人間には理解し難いところがあるし、おさえちゃんはとっても可愛く微笑みながらものすごい辛辣な言葉を心の底から優しく語りかけなきゃいけないし。難しいんだけれど、見ている方は面白いと感じるだけでその努力までは汲み取れない。それで役者の仕事は正解だよな〜。片桐仁氏・中越典子嬢、どちらも好演してました。
街の人たちはみんなカビ人間を忌み嫌っているけれど、おさえの親父は結構優しいんだよな〜。話の流れからするとおそらく親父の目を潰したのは、以前のカビ人間らしいんだけど。それに親父すっごい老けてるけど実は36歳って結構若いんだよな。でも見た目だけでなくなんか中身まで老人になっちゃったのか、カビ人間の心の中身に悪意がないことを見極めて、見た目に捕らわれずに本質の部分で接してる感じ。外見がジジイになると、人間丸くなって人に優しくなれるモンなのか?ジジイ化する前の親父がどんな人間だったか結構興味ある。っていうか、もしすっごい下品な人間だったとしたら、そこから豹変してしまうのはやっぱり病のせいなのか、とかいろいろ考えてしまう。
以前からA木に「この役者を見せたい」ナンバーワンだった山内圭哉氏を、ようやく紹介することが出来た。芝居が始まる前からさんざんA木に面白い役者が出ると売り込んであったので、いざ芝居が始まるとA木もすぐに彼にピンと来たらしい。そしてヤツに釘付けだったとか、無理もない話。更に、演技が面白いとか髪型がヘンとか注目どころは沢山あるが、実はカッコいいということにまで気付いた。これは今回同行したS木やO方まで反応してきた。さすがみんなよく見てること。人に言われて改めて見ると、ホント僧正って超イケメン。以前のG2作品で主役やった時、ふつーの髪型のヅラ被って出てきたときは、一瞬誰だかわからなかったけどわかった瞬間会場中が大爆笑。そしてすげぇカッコいくて笑ってる場合ではなかったっけ。
何気にポイントの中山祐一朗氏。彼もA木には初見さん。感想を尋ねてみるとやはり好印象。ファーストフードの店員の丁寧だがムカつく加減なんざ、もうサイコーである。A木がムカつく礼儀正しさといったら「総務のT葉」と同等と言い出し、大爆笑す。余談で葉あるが、確かにT葉はそりゃもう腹が立つほどウザく挨拶を繰り返す。3分後再び出会えばまた挨拶をしてくる。一体何回挨拶する気だ!?ひょっとして実は頭悪ぃんじゃねぇかと疑いたくなる。そっかー、ヤツのウザさは他の部署でも噂になっていたか〜。
以前にテレビで見ているからネタは知っているのに、それでも笑うし泣いてしまう。戦士のヘンな「馬」にはもう抱腹絶倒だし、大王や僧正・成志さんがかます小ネタにニヤニヤが止まらない。カビ人間が街の人に処刑されおさえが2人のそして街の幸せを願って自害するラストシーンはやっぱり泣けるし、仲直りしたように見えた旅人2人が相次いで事切れる大ラスでは、市長のあまりの残酷さに鳥肌が立ち泣かされる。隣では珍しくA木も涙。いつもは映画とかでもこっちが泣いてもヤツは泣かないんだけどな〜。ヤツは大王の脚本は「BIZ」シリーズしか見たことなくて、この「BIZ」シリーズがえらくお気に入りで、ヤツの中でのベストワンストーリーと豪語していた。確かにコレは面白い話だけど、コレだけしか知らないでナンバーワンというヤツの意見には不満があった。だからこそ、大王の作品で笑いだけではない名作の数々から何かを見せてやりたかった。今回はそういう意味でも大成功。A木よ、後藤ひろひとはホントにすごいんだぞ!わかったか!!
大変宜しい舞台だったが、気になることといえばやっぱりハコがちとデカい。やはりPARCO位のキャパでキャストを2,3人少なくするくらいがちょうどいいんじゃないかなぁ。役者個人それぞれの技を見るにはその方が宜しいかと。終演後物販を改めて見たら、神父の肩に乗ってるヘンな人形「○○○」(←名前忘れた)を売っていたが、「売れ切れました」の表示あり。まだ芝居始まったばっかりなのに早っ!あんなモン買う人がいるんか。オリジナルキャラクター第2弾って書いてあったけど、第1弾は一体何!?
ロビーでいつもの如く汚い字でつたない文章を書いていたら、以外にも隣でO方もアンケートに記入してた。私の想像以上に気に入ってくれたのかもな。ホントはこの後ご飯食べたりして遊びたかったが、今週は日曜しか休みがないということでみんな疲れてるので、ちょっと買い物して茶ぁしながらダベってさっさと帰ろうということに。ってここでまた足並みがずれる。A木がハラ減っただの家に帰っても何も残ってないだろうと言い出し、ガッツリ料理を注文した。さっさと帰りたかったのに、また遅くなる。うーん。やっぱり集団行動は面倒が多いわ。個人プレーに慣れてる身としては、いつもとは違う疲れを感じた1日。楽しかったけどね。