花組芝居〜鏡花まつり〜「泉鏡花の草迷宮」@シアタートラム

花まつり2本目。どうせなら1日で両作品観てしまった方が効率がいいが、映画や芝居を1日に2本ハシゴするのは極力避けている。ライブとの組み合わせならOKなんだが、2本観ると絶対ストーリーや何かがぐっちゃになって混乱すると思うので、やはり面倒でも1日1本、2日に分けて観る。
本日も物販で役者さんがお手伝い。今日の担当は水下氏&各務氏。どちらも長身の方なので結構目立つねぇ。パンフレットはみんな結構買っているけれど、DVD&日本箸や役者紋入りとっくり&お猪口はなんだか人気がないらしい・・・。「徳利・お猪口セット余ってま〜す」だの「監督自らDVD販売しておりま〜す」など、ちょっと自暴自棄的な売り子さん。家で日本酒飲むこともあるけれど、お猪口だの徳利だのってのはあんまり使わないもんなぁ・・・。ゴメンよ。
セットはやはり「日本橋」と同じ物。ただ障子が破れていたりと、物の怪っぽい雰囲気に変わっていた。オープニングからいきなり茶店の婆さん八代氏のひとり芝居。この婆さん、物語が進むに連れてそのバイタリティの豊かさに感服。すげぇ面白いの。2度目の小次郎法師・桂氏とのシーンは、安定感もあるし笑いを狙ってる感もあって、いろんな意味で見応えあり。妖怪達が出てくると、一気に物語が異世界へ吹っ飛ぶ。なんか可愛らしいというか、愛すべき感じの化け物ども。さっきの婆さんといい大井氏の蟹の宰八といい、人間とも物の怪ともつかないあっちとこっちを自由に行ったり来たりしているような存在が、オモシロ可笑しい。原作を読んでないから理解し難いところもあるけれど、大体の内容はわかるし役者の芝居や演出が面白いから十分楽しめる。そして当然役者たちが、狙ったように小芝居をかましてくれる。桂・大井・八代同期3人組が揃うと、絶対になんかある!?と期待してしまう。そして実際におバカな小芝居して喜んでた。ひゃっひゃっひゃっ♪毎日違うことやってるんかな?あの人たち。
葉越明は松原氏。最近活躍が目覚しいね、実際いい芝居してるし。ネオ歌舞伎ん時は女形が結構多かったように思うけれど、今回みたいな立役は初めてか?芝居を見ていると、「あぁ頑張ってお稽古したんだなぁ」というのがわかる。鏡花のあの独特な長台詞をこなすのは大変だろうけれど、結構いい感じになってた。ただ、「〜〜〜〜〜、あなた。」っていう鏡花先生独特の言い回し。劇中にもさまざまな人物の台詞に何度も出てくるんだけれど、綾央くんが言うと何となく違和感があるような・・・?他の人ではそんなに違和感なくすっと入ってくるんだけれど、何でだろう?技量の違いかもしくは気のせいか?ようわからん。
後半にはいよいよ大物菖蒲登場。山下氏の女形は上手いし綺麗だけれど、こういう思いっきり主役っていう役どころではあまり見たことないので、ちょっと以外だった。何でまた今回はこの顔のデカい(失礼!!!)女形にしたんだろうと思っていたが、芝居を見て納得。ラストに一指し舞う場面があるのね。他の役者さん達もそれなりにお稽古をしているだろうからそこそこ踊れるんだろうけれど、こういう1シーン丸々踊る見せ場では、心得のある人が相応しいし見応えがある。初演は加納さんで再演は山下さん。ん、納得。手鞠をつくというので鞠は後見が操るかと思ったら、実際の鞠は使わずに仕草だけ。これも実は結構難しいのかも。それでもちゃんとこなすあたり、さすが先生。それから、菖蒲は物の怪というより怪かしの雰囲気を持った人間って感じ。特に不思議な怪かしの力を使うわけでもないし、非常に人間臭い母性の女(ひと)だからねぇ。何より明がオカンが好きで好きでたまらんっていうマザコンだから、ホント親子愛を描いているような感じ。母親の面影を追い求めて手鞠歌聞きたさに放浪している身って、ぶっちゃけ明のほうがよっぽど人間離れしてるよってツッコミたくなる。
今回はどちらの作品も歌なし踊りなしのストレートプレイ。最近の花組芝居はやたらと歌い過ぎじゃないかと思っていたので、こういう正統派な舞台に結構満足。歌や踊りでミュージカルっぽくオペラっぽくするのも華やかで盛り上がるけれど、そもそもネオ歌舞伎、それだけで華やかなんだからシンプルに仕上げても十分見応えがある。それにしても、2作品ともにふんどし率の高い芝居だった・・・。それから花組芝居、現在ボウズ率何%だ?ほとんどの芝居でかつらを載せることが多いから、やっぱり天然羽二重がいいのか〜?(笑)