高野寛「new songs」@Blue Jay Way

昨日とは打って変わって穏やか〜なライブ。ライブっていうよりサロンコンサート?高野氏曰く「曲を作ってレコーディングしていても、まだ曲を歌いこんでいなくて自分自身曲を分かっていないことがある。だから今回はレコーディングの前に新作発表。友達を家に呼んで『こんな曲できたんだけど』って感じ」だそーで。実際「おととい出来た曲」なんてモノもあり。ただその反面ライブのリハーサルが辛かったとも。今回の場合、リハって要するに作曲活動ってことだからねぇ。けれども実際にライブで客の反応がダイレクトに帰ってくるのは、客にとってもアーティストにとってもものすごい実りのあるものだと思う。どっかのミュージシャンは「10回20回練習するより1回のライブの方が身に付くものが多い」とか何とか言ってたし。
ステージにベースとマイクがセッティングされていたので、誰かサポートに入るのかな〜と思っていたら、TATSU氏(from LA-PPISCH)登場。宮沢和史氏のサポートで高野氏とはおなじみのメンツ。しかも先日ARABAKI ROCK FEST.の後夜祭に原田郁子嬢(from クラムボン)&坂田学氏と一緒にライブをやったんだよね。観たかったなぁ、ARABAKI。と思っていたら客以上に本人達がノッてしまったらしく、高野+原田+TATSU+坂田=4Bなるものを結成してしまった。うわぁ楽しみだ〜。高野氏は今年の夏フェスは生憎どこにも参加されないが、今後いろいろと予定があるかもしれないとの事。以前からNathalie Wiseは野外フェスとか似合いそうだと思っていた。だから今年も夏フェス参加を期待していたけれど、各自の活動が忙しいのかフェス参加はソウルセットRISING SUN ROCK FESTIVALのみ。高野「来年あたり期待していて下さい。」ハイ、待っています。
話が反れた。今回のライブはTASTUさんの他に高野氏曰く「強力なサポート、Power Book&ローランドのリズムマシーン」だそうで。強力言っておきながらローランドにダメだし。高野「つまんない音してるね」、TASTU「この人いつもこんな感じ」。更にはTATSU「海外で丸の内線を見た」、高野「トリビアだね」、客「へぇ〜」だの、宮沢氏のツアーでの出来事をダラダラしゃべったり。全くもって自由である。ライブという気負いはあまりナシ。この空気がイイ。客サイドも椅子に座って肴を摘み酒を呑み、ゆったりまったり。楽しいねぇ。TASTUさんが登場したとき「こんにちは」、高野「そういや今日はまだ『こんにちは』なんだよね。外明るいもんね。」それなのに酒呑んでい〜気分で酒と歌に酔っ払ってゴキゲンタイム。
またもちょっと話は反れるが、サラリーマンに優しい時間帯のライブは嬉しい。日曜だから明日からの為に早く帰りたいなぁという時に、16:00開演にしてくれる。以前Nathalie Wiseのライブを金曜の渋谷でやった時は、20:00開演だった。通常平日でもライブは19:00とかせいぜい19:30開演がセオリーだが、渋谷に19:00はやや郊外の身にとっては会社をチャイムと同時にダッシュせねばキツイのが現状。しかし20:00ならば余裕を持って会場へ着ける。そして金曜なので多少帰りが遅くなっても平気。こちら側のそういう気持ちを汲んでいてくれるのかどうか開催側の意図は分からないが、とにかくとても助かっている。何処の何方がどういった経緯で決めているのかは計り知れぬことですが、ありがとさんです。
ライブのナンバーはホントに最近作ったものばかり。高野氏が個人的に作ったものや、竹中直人監督の映画「サヨナラCOLOR*1のサントラとして作ったもの。といってもサントラCDに入ってるけど、映画では実は使われていないとか。*2それからサントラ以上のCDにも入らなかった宙ぶらりんな作品、などなどそれはもうバラエティーに富んだ選曲。アンコールでは「やっと古い曲を歌えるぞ!」・・・いつものおなじみナンバーも歌いたかったのか・・・。まあ確かに盛り上がるけどね、「相変わらずさ」とか。
またも余談だが、「サヨナラCOLOR」のサントラ作りは相当面白かったと思われる。Nathalie Wise+クラムボン+ハナレグミというメンツを見ても期待できるが、「スタジオに楽器がいっぱいあって、グループとか誰がどの曲とか関係なく、やりたい楽器で好きなにやって」レコーディングしたというから、オモシロ度が期待できる。だから「みんながウクレレ持ったりして、ヘンな光景」もあったそうで。確かにヘンだ。でもオモシロそう。
こだわりや完成度云々っていうのもプロとしては当然必要だけれど、しがらみを取っ払ってそれこそ自宅でオモシロ連中が集まって遊び感覚でっていう作品作りっていうのも、ミュージシャンとして有りだと思う。それを高野さんのホームページみたいに「こんなのできた。ちょっと聞いて」的に手軽に発表するもよし、今回みたいにサントラとしてCDにして、値段をつけて一般的に「価値」のあるものとして発表するもよし。造り手がどういう方法であれ自分の納得するもん作って、受け取る側はそれに対して金をかけても聴きたいか、タダだったら聞いてもいいとか、コレをタダで聴けるのはラッキーと考えるか、受け止め方は人それぞれでいいのではないか?作る側も受け取る側も変なしがらみを無しにして、楽しめればそれでいーのだ。本音を言えば、ヘンに商売を意識しないで欲しいなぁというのがファン心理。ただ、全てにおいてそうであるかといえば、なかなかそうはならないのが現状か?まあ、今回のサントラCDは、始めにCDを作ることが決まってて、レコーディングが何か自由な感じになったっていうことで、自由に作ったモンを「せっかくだから売ってしまおう」という訳ではないのだろうがね。
久々に高野さんを見て、相変わらず歳を感じさせない人だな〜と思った。万年青年。こういうところも魅力のひとつか?っていうかいつまでも若く見えるなんて、羨ましい限りである。元が老け顔って場合はどうしようもないかもしれないんだけどね〜・・・。

*1:忌野清志郎氏の呼びかけで数多くのミュージシャンが出演。夏公開予定。

*2:高野氏曰く「サントラ以上」なCD。夏発売予定。