「KITCHEN」@シアターコクーン

本物のキッチンが舞台。実物の食材や火は使わないものの、水が流れ、皿が音を立てて並べられる。大きなキッチンを客席が取り囲む様は「料理の鉄人」のキッチンスタジアムを思い出す。ストーリー云々よりも、厨房での料理人たちの動きを楽しむ感じだ。っていうかあまりに舞台(厨房)が慌しく、ストーリーに身が入らない・・・。っていうかストーリーには特に大きな魅力はなかった。現代の日本人には理解しがたい内容なのではなかろうか。時代も国も違う世界で、民族間の意識だのってのはようわからん。こうなったらいっそのこと役者たちが架空の料理を作る様を観察しようと思ったが、自分の席の前は厨房の端の方、洗い場の辺りである。ひたすら皿やグラスを洗っては磨くという作業を、延々目の当たりにするハメになった。
そんなんばかり見ていたわけではない。ちゃんと芝居も見ている。お気に入りの役者に目が行くのは当然で、上手いと思うのはいつものことだから、いちいち褒めることは面倒くさいのでしない。気になった役者といえば、杉田かおる女史。自分のわがままなのかも知れないが、もっと面白味が欲しかった。確か主人公の相手で不倫をしている女性という役どころだったと思うが、ただ気が強く常にハッキリものを言うっていうだけのように感じた。もっと変化があれば面白いのにと思ったのは、こちらの見る目がないのか?それから他に気になる人物といえば、ずーっと下手側でジャガイモか何かの皮むきをしていた人。いったいいつからいたのかわからなかった。そして休憩中もそこに居座り、最後まで話に絡まず皮をむいていた。どこかでストーリーに絡んでくるだろうと思っていたら、一切なし。なんだったんだろう・・・。
まあ加えて言うなら、何ともハラの減る芝居であった。ウマいもんをガッツリ食べたい気分になった。