小谷美紗子「Trio TOUR CATCH」@CLUB QUATTRO

彼女がデビューした時、結構な衝撃を受けてひっくり返って以来、音源が出てはちょこちょこ聞いていたけれど、実は意外にもナマは今回が初めて。
普段あまり出さない本気を全開で仕事をやっつけるも、やっぱりちょっと遅れた。まあ19時半開演が幸いして、10分程度の遅刻だけれども。アルバムと同じで豊夢くんと寛くん迎えてのトリオ編成。例の如くクアトロは柱がお構いなしにそびえ立ってるので、下手側の美紗子嬢全く見えず。でも豊夢くんと寛くんは見えたからオッケー。特に豊夢くんのドラムが見れたのは凄くよかった。S木から100s中村一義名義のCD借りて聞いたことはあったけれども、ナマで聞いて驚き。豊夢くんのドラムはキレもあるし繊細でもあるし。小谷さんの歌とピアノが奏でるメロディーとハーモニー、それとトム君のリズム、それに旨く溶け合うようにヒロ君のベースが歌ってる。*1やっぱこの人たち凄いや。この距離で体験できたことが凄く嬉しい。*2
アルバム中心のナンバーの中に懐かしい曲まで。久々に「嘆きの雪」を聞いたけど、やっぱりこの人の歌は人の心を無条件で震わす。彼女の歌を聞いていると、音楽って必ずしも楽しい気分になるものばかりじゃないのかなと思う。かといって、決して後ろ向きになるわけではなく、不幸な気分になるわけでもなく、なんかしらの力を貰ってる。苦さを吐き出すような、心の中であまり照らされない部分に刺さるような、そんな歌声。
3人でセッションしているのを見て、今、この人たちの現状で、この3人でやるってことがすごくハマッてるんだなと実感した。キャリアや年齢からいって若手とは言えないけれど、ベテランや中堅というほどの域ではないという、ちょっと微妙な立場にある人達。若手に張り合おうとか思わず、そして大人の力を借りずに、今自分達の持ってる力で何とかやってやろうという意気込みが、音になり空間を満たしていた。個性のぶつかり合いとかいうんではなくて、3人の音がそれぞれこの音楽には不可欠という感じで鳴ってた。スキルを十分に持っている人たちだから、やり様によってはいかようにもなる。そんな3人がアンコールで演奏したのは、ベートーベンの「悲愴」・・・参りましたm(_ _)m
彼女の歌を初めて聞いてから10年。当然彼女も変わったし自分も変わった。10年経って彼女がアーティストとして成長しているのと同時に、聞き手側の自分にとっても無駄な10年じゃなかったはずと、10年前に彼女の曲を聞いていた自分を思い出して、そう願った。当然失ったものもあるけれど、得たものだって必ずあるはず、と。そんな夜。どうもありがとう。

*1:よりによって「Who」のイントロ失敗するという一面もあったり・笑

*2:美佐子嬢曰く「アユからオダニまで」多岐にわたる活動も頷ける