PARCO-RICOMOTION Presents「開放弦 KAIHO-GEN」@PARCO劇場

今回のパルコはG2×倉持裕。倉持さんの作品は実はペンギンプルペイルパイルズの方では見たことないけど、他の作品で見て結構好きだったので、んじゃ今回も見てみるかと。役者も結構おいしいし。
じっくりじんわりと人間模様を描いたようなお話。見えない愛っていうか。とになくお話が面白かった。ラストにタイトル「解放弦」になるほどとなるのが、直球でなくちんぷんかんぷんでもなくこれもじんわりにじみ伝わるというか雰囲気を伝えるというか、そんな感じがじーんとなってよかったなぁ。わかりやすい芝居って逆に物足りなさを感じて退屈ってものもあるけれど、これはそういった感じがなかった。わかりやすいけど捻じくれたヒネリなんかもあったり、シリアスもありコミカルもあり、負と正の感情が共存してて面白い。退屈間なしの3時間、集中集中で引き込まれてしまった。
じわ〜とした雰囲気を作る為なのか、全体的に役者の芝居もゆる〜い感じ。ひとりキレてるのが大倉さん。やっぱり凄いね彼、あの手足長い身体であれだけの動きをすると、本当に見映えがある。*1見るたびに毎度成長が見えるようで、楽しみでしょうがない。同世代の人がこうやって活躍してるのを見ると、嬉しくなる。門田みたいなキレキャラが実際にいたら、ウザいとかムカつくとかうるさいとか思いそうだけど、そうは見えないのは田舎で生活している人の雰囲気なのか、役者の力なのか。とにかくキレてるけどやなヤツじゃないんだなってのがいい感じ。逆に他の役者が緩すぎに見えちゃったり。遠山・恵子夫婦の関係性も、偽装結婚という毒々しいものではあるにせよなんとも煮え切らない感じで。まあそのボンヤリ感や曖昧さがいい芝居なのかな。そんな二人を門田とはまた違った方向から依代がブッた切るのが、憎たらしかったり可愛らしかったり。進藤・素江夫婦は存在自体がコメディのニオイがするものの、微妙な距離感が面白い。仲がいいんだけど実は嫁の方が超売れっ子*2だとか、実は運転していたのは夫ではなく嫁の方だとか。ちなみに進藤の格好は、赤ボーダーの某漫画家先生を思い出す。気のせいか?もっと押しが強い芝居をいつもかましてくれるから、この二人にしてはちょっと大人しい?て感もあるけど、この作品だとこのくらいでちょうどいいのかも。ゆる〜ん。編集・木戸は仕事を忠実にやるのはいいんだけど、あの働きっぷりがウチの営業のK原を思い出して、非常に個人的な手前勝手な感想で申し訳ないんだが、腹が立ってどうにもならない。
音楽をやってる人が星の数ほどいると、その姿勢てのも人それぞれなんだろうなとふと思った。確かに誰もが売れたいとは思うかも知れないけれど、本業・副業ていうか、仕事・趣味ていうか、ただ音楽が好きなんだよって、そういう人がたくさんいるといいな。劇中でこのバンドはこの場では歩みが止まってしまった感じだけど、待っている人はどう思うんだろう。実際自分が今好きなアーティストがこうなったら?違う形になったとしても今と同じように聞いてる?なんかいろんなこと考えてしまった。
実際劇中で使われる音楽がまたいいね。渡辺香津美氏によるギター。凄く優しく響くかと思えばとんでもなく捻じくれた音だったり、キラキラだったりゴリゴリだったり。アコギは弾き手の個性がそのまま映し出されて、実に味がある。弦を弾く音やネックを滑る音まで聞こえて、実に臨場感のあるBGMだった。「開放弦」による音を正しく演奏するとあぁこうなるのかと、楽器の面白さを改めて実感したり。本当にいろんな楽しみ方が出来た舞台だったな。
ちょっと気になったのは、食いしん坊は結局生き残りがいたのかってことと、バンド名。

*1:カモを蹴っとばしたシーンは拍手喝采

*2:「バームクーヘンに巻かれて」だっけ?大ウケ